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書評 - 絶海にあらず 藤原純友の乱

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絶海にあらず〈上〉 (中公文庫) 絶海にあらず 下 (2) (中公文庫 き 17-9)
絶海にあらず〈上〉 (中公文庫)
絶海にあらず〈下〉 (中公文庫)
北方 謙三(著)

海はいいですね。雄大です。

僕は泳げないのですが、それでも海の雄大さにはとても惹かれます。僕と同じように泳げないにもかかわらず、「海賊王にオレはなる!」と宣言してはばからない少年の気持ちがよく分かるような気がします。


海は世界とつながっています。大航海時代、冒険者たちを運んだのは海でした。イギリスが世界を征服したのも、海を通じてでした。

竜馬がゆく』の坂本竜馬は、「太平洋と大西洋に船団をうかべて世界を相手に大仕事がしてみたい」と貿易の夢を語りました。革命政権のリーダーとなって権力を握ることよりも、海を選びました。

本書『絶海にあらず』は、藤原純友が主人公の歴史小説です。平安時代、役人でありながら海賊のリーダーとなって反乱を起こした人物です。

一族のはぐれ者として無位無官の気ままな生活を送っていた藤原純友は、あるとき役人となって伊予に赴任します。そこで海の素晴らしさを知った彼は、海上貿易の自由を奪おうとする京都政権に反発。ひそかに海賊の指導者となって京都と対決します。役人の顔と、海賊の顔。この2つを使い分けるスリリングな二重生活は見モノです。

反旗をひるがえす。

という言い方をよくしますが、普通はそう簡単にひるがえすことなんてできません。普通の人はどうすれば反旗をひるがえすことができるのか、そのノウハウがありません。ひるがえし方が分からないんです。純友は小説の中で、そのノウハウを少しずつ披露してくれています。巨大な組織との喧嘩の仕方です。

勝てる喧嘩の仕方とは、どういうものなのか。それを考えて行動する純友の真剣さが伝わってきます。喧嘩の仕方というのは、つまり戦い方です。負けられない戦いにおいては、即「生き方」に直結します。

同じ目的のために集まったプロフェッショナルな男たちが、政治・経済・軍事の各方面で京都の中央政府と戦っていく姿は、力強い海風のように、さわやかな読後感を残してくれます。

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at 13:41, あーりー, 歴史小説

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