英雄三国志 2巻 - 覇者の命運

英雄三国志(2) (集英社文庫)
英雄三国志(2) (集英社文庫)
柴田 錬三郎(著)

関羽や張飛が活躍するたびに、あいかわらずたくさんの血しぶきがあがります。彼らがびゅんびゅんと武器をふるう姿は、三国志の見せ場のひとつですよね。痛快です。颯爽としています。空を舞う血まみれの手足も、甲子園のホームランボールみたいにさわやかです。

でもすぐに、首を飛ばされた雑兵にだって、親もいれば子もいるだろうに。と、まったく余計なことを考えてしまいます。三国志を読むときに、そんなことは考えなくていいのに。

豪傑の武勇をさんざん楽しんでおきながら、気が向いたときにだけふと雑兵をいたわってみる。それってなんだか、ジンギスカンを食べながら「羊かわいそう」と言っているみたいで、とりあえず自分で自分に苦笑いです。

そんなふうに、ぼくが勝手に内心でわたわたやっているうちに「三顧の礼」となりました。いよいよ孔明が本格的に登場してきます。じつは孔明は「三顧の礼」の前にも、何度か物語に顔を出していました。放浪時代のようすが描かれていたんです。放浪中、孔明は曹操から仕官を求められたこともありました。でも(当然ですが)きっぱり断っています。

孔明が劉備の軍師となったのとほぼおなじ頃、司馬仲達は曹操の股肱に名を連ねます。孔明と仲達。次の時代への準備が、着々と整いつつあります。

とはいえ、孔明と仲達が互いの国家の命運をかけて激突するのは、まだまだ先のことです。この巻のみどころは、レッドクリフ前夜。孔明と周瑜の駆け引きです。「このシーン、こんなに面白かったっけ?」というくらい夢中にさせてくれます。

つづく3巻では、いよいよ赤壁の戦いです。楽しみです。

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at 17:35, あーりー, 歴史小説

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なまらラッキー!

最近は英雄三国志の2巻を読んでいるんですが、途中でページがくっついていました。

三国志くっつき

貴重ですね! ラッキー!

at 08:14, あーりー, 歴史小説

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英雄三国志 1巻 - 義軍立つ

読んでいて「疾駆」という言葉が頭に浮かびました。展開にスピード感があるんです。物語が広大な大陸を「疾駆」します。活字を目で追うごとに、頬に風を感じるような気がしました。

英雄三国志〈1〉義軍立つ (集英社文庫)
英雄三国志〈1〉義軍立つ (集英社文庫)
柴田 錬三郎(著)

手に取ったときの、ずっしりとした重量感がたまりません。たっぷり650ページ以上。厚さを測ると約2.5センチありました。いいですね。

読んでも読んでも、果てしなく三国志の世界が続きます。しあわせです。のびのびと手足をのばして読書の中にくつろげる安心感があります。

数ある三国志小説の中で、今回この柴錬三国志を読もうと思った理由はひとつ。冒頭です。

おどろいたことであった。
人間が、空から降って来たのである。

人間が空から降ってきて、地べたに叩きつけられる。その様子を、劉備が平然と見ている。そういう衝撃的なシーンから物語は始まります。インパクトのある書き出しでした。

書き出しでこれだけ惹き付けてくれるのだから、きっと面白い小説に違いない。ある程度知ってしまっている三国志の世界を、僕が今まで見たことのない筆さばきで刺激的に描き出してくれるに違いない。そう期待して本書を購入しました。

期待以上でした。これが噂の柴錬三国志なんですね。1巻を読み終えて、新鮮な世界観に脳がしびれています。この三国志を今まで読まずにいて、しあわせだったと思います。これからたっぷり柴錬三国志に没頭できる楽しみがあります。

柴錬三国志はいろいろな仕掛けや演出で僕たちを楽しませてくれます。趙雲や諸葛亮の初登場シーンには不意をつかれました。

王允の計画に身をささげた悲劇の美女・貂蝉を、あえて残忍な素質を秘めた毒婦として描く視点にも衝撃を受けました。

椰經悗寮錣い任蓮敵将の華雄を討つ役割を関羽と張飛がクジ引きで決めます。思わず笑ってしまいました。

各所に織り込まれた独特の演出は、まるで「疾駆」する馬に鞭を入れるように、物語に大きなはずみをつけてくれます。

1巻では黄巾の乱、董卓の暴政、孫堅の死、曹操の台頭が描かれています。呂布に敗れた劉備は曹操のもとに身を寄せました。南では孫策が小覇王の名を欲しいままにしています。

英雄三国志』はまだ始まったばかりです。いくら「疾駆」しても、まだまだ終わる心配はありません。次のページをめくる楽しみをあと何回、何千回味わえるのかと思うと嬉しくなります。

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at 09:03, あーりー, 歴史小説

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信長と秀吉と家康 - 戦国小説の入門書

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信長と秀吉と家康 (PHP文庫)
信長と秀吉と家康 (PHP文庫)
池波 正太郎(著)

むかし。僕が日本史を好きになり始めたばかりの頃。

織田信長のことは、なんとなく知っていました。 豊臣秀吉のことも、なんとなく知っていました。 徳川家康のことも、なんとなく知っていました。 でも本当になんとなくでした。 だからいつも、信長と秀吉と家康についてわかりやすく書いた本はないだろうか、と思っていました。

そんなある日、駅のキオスクで見つけたのがこの本です。タイトルからしてズバリそのものでした。ページを開いてみると、とても読みやすい。まったく小難しくない。日本史初心者の僕でも、すらすらと読めました。

この本のおかげで僕はなんのつまずきもなく日本史好きになることができました。感謝しています。戦国時代の入門書として、はげしくおすすめします。

at 14:54, あーりー, 歴史小説

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書評 - 絶海にあらず 藤原純友の乱

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絶海にあらず〈上〉 (中公文庫) 絶海にあらず 下 (2) (中公文庫 き 17-9)
絶海にあらず〈上〉 (中公文庫)
絶海にあらず〈下〉 (中公文庫)
北方 謙三(著)

海はいいですね。雄大です。

僕は泳げないのですが、それでも海の雄大さにはとても惹かれます。僕と同じように泳げないにもかかわらず、「海賊王にオレはなる!」と宣言してはばからない少年の気持ちがよく分かるような気がします。


海は世界とつながっています。大航海時代、冒険者たちを運んだのは海でした。イギリスが世界を征服したのも、海を通じてでした。

竜馬がゆく』の坂本竜馬は、「太平洋と大西洋に船団をうかべて世界を相手に大仕事がしてみたい」と貿易の夢を語りました。革命政権のリーダーとなって権力を握ることよりも、海を選びました。

本書『絶海にあらず』は、藤原純友が主人公の歴史小説です。平安時代、役人でありながら海賊のリーダーとなって反乱を起こした人物です。

一族のはぐれ者として無位無官の気ままな生活を送っていた藤原純友は、あるとき役人となって伊予に赴任します。そこで海の素晴らしさを知った彼は、海上貿易の自由を奪おうとする京都政権に反発。ひそかに海賊の指導者となって京都と対決します。役人の顔と、海賊の顔。この2つを使い分けるスリリングな二重生活は見モノです。

反旗をひるがえす。

という言い方をよくしますが、普通はそう簡単にひるがえすことなんてできません。普通の人はどうすれば反旗をひるがえすことができるのか、そのノウハウがありません。ひるがえし方が分からないんです。純友は小説の中で、そのノウハウを少しずつ披露してくれています。巨大な組織との喧嘩の仕方です。

勝てる喧嘩の仕方とは、どういうものなのか。それを考えて行動する純友の真剣さが伝わってきます。喧嘩の仕方というのは、つまり戦い方です。負けられない戦いにおいては、即「生き方」に直結します。

同じ目的のために集まったプロフェッショナルな男たちが、政治・経済・軍事の各方面で京都の中央政府と戦っていく姿は、力強い海風のように、さわやかな読後感を残してくれます。

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at 13:41, あーりー, 歴史小説

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武田三代 - 信虎、信玄、勝頼

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武田三代 (文春文庫)
武田三代 (文春文庫)
新田 次郎(著)

武田信虎信玄勝頼の3代を描いた短編小説集。読み応えのある作品ばかりです。安心して歴史小説の世界に身を任せられます。

収録されている作品は次の通りです。

信虎の最期

武田氏の戦術・戦略を著した軍学書「甲陽軍鑑」には、武田信虎の死のことが書かれています。そこにはただ“信虎公やがてご他界なり”と記されているだけです。この一行をふくらませたのが、短編「信虎の最期」です。

タカ狩りのとき、タカの扱いが悪いという理由で部下を斬る。その帰り道、吠えついてきた犬の飼い主を斬る。さらに、それを制止しようとした部下2人を斬る。

武田信虎の狂刀は、おさまる気配がありません。そのため彼はとうとう家臣に愛想をつかされ、計略によって国を追われてしまいました。

その信虎が33年ぶりに武田領へと戻ってきました。家臣たちは動揺します。信虎は家臣たちとの面会の席でまたも刀を抜きます。

見せ場は、なんといっても信虎の死の真相です。最後のサプライズでこの短編がいっそう引き締まった印象を受けました。

『武田三代』には全部で7つの短編が収録されています。「信虎の最期」は昭和50年に発表されており、7編の中で一番最後に書かれた作品です。新田次郎のあの長編小説『武田信玄』よりもあとに書かれたということになりますね。

異説 晴信初陣記

16歳の武田晴信(信玄)は、父・武田信虎から海の口城の攻略を命じられます。海の口城は天然の要害。簡単には陥とせません。

それでも晴信はみごとな采配で攻城戦をすすめていきます。作戦はうまくいっていました。しかし、晴信は違和感を覚えます。自分は誰かにあやつられている、という違和感です。

名将“武田信玄”誕生の瞬間が描かれています。家臣たちの心が暴君・信虎から離れ、晴信に向けられていく様子がシビアでもあり、痛快でもありました。

消えた伊勢物語

昭和43年4月号の『推理ストーリー』で発表された短編です。

永禄9年(1566年)2月のはじめ。武田信玄が大切に保管していた伊勢物語の原本が盗まれているのがわかりました。信玄はさっそく部下に捜索を命じます。犯人は誰なのか。これはただの盗難事件ではありませんでした。背後には大きな陰謀が…。

この騒動の中で信玄の家臣飯富兵部は、信玄の子・義信のことを思ってある配慮をします。

しかし、それがかえって飯富兵部と信玄との間に溝を生むことになってしまいます。その溝が、永禄10年の悲劇につながっていきます。飯富兵部の不器用さ、やさしさが心に残りました。

また、武田信玄今川義元北条氏康の3人が連盟のために勢揃いするシーンがあります。3人は仲良くひとつの部屋に集まって、伊勢物語について雑談をします。面白い光景でした。このとき北条氏康は伊勢物語にほとんど関心を示しませんでした。しかし、あとから思えば、それも計算だったのではないかと勘ぐってしまいます。

まぼろしの軍師

ぜひ読んで頂きたい作品です!

戦国時代の最終的な勝者となった徳川。その徳川を、かつて三方ヶ原の戦いで徹底的に叩きのめしたのは、武田でした。徳川の世になると、武田の強さは伝説となりました。その伝説を支えた男の一人が、軍師・山本勘助です。

織田信長が本能寺に散った天正10年。山城国・妙心寺に鉄以(てつい)という僧がいました。山本勘助の息子です。むかし、山本勘助が立身を夢見て風雲に身を投じた際、寺にあずけられたのです。

それから30年。鉄以は一度も父の消息を耳にしていませんでした。父が武田に仕えているらしいとは聞いていましたが、その武田も今は滅びています。父もまたどこかの戦場で一兵卒として死んでいったに違いない。鉄以はそう思っていました。

そんな鉄以のもとに、一人の老人が現れます。三枝(さえぐさ)十兵衛と名乗るその老人は、山本勘助とともに武田に仕えていたといいます。老人は山本勘助のことを語り始めます。

山本勘助が武田の軍師だったこと。武田の連戦連勝は勘助のおかげだったこと。そして川中島の戦いで壮絶な戦死を遂げたこと。

語り終えると、老人は息絶えました。

鉄以は甲斐に旅立ち、父・山本勘助のことを調べはじめます。すると意外な事実がわかってきました。現地の人々は口をそろえて「山本勘助という名前は、聞いたことがない」というのです。老人から聞いた話と現実との間には、大きなギャップがありました。

武田ファン、勘助ファンの方にはもちろん、たくさんの戦国ファン、歴史ファンの皆さんにもぜひぜひ読んで頂きたい小説です。読み終えた後、少しだけ悲しい気持ちになりました。そして少しだけ救われた気持ちにもなりました。

これは何なんだろうと思って、すぐにもう一度読み返しました。もう一度読み返したい小説はたくさんありますが、このとき「まぼろしの軍師」はぶっちぎりで優先順位ナンバー1になっていました。

父と子のすれ違い。きずな。夢。歴史がつくられていく面白さ。すべてがそろっています。おすすめです。

孤高の武人

主人公の桜井信久は、武田勝頼に仕える武将です。ある日、桜井信久は村の娘を気に入って側室にしました。すでにその娘には恋人がいましたが、村の豪士たちは桜井信久の機嫌を損ねることを恐れて、内密のうちに2人を別れさせ、娘を差し出したのです。

娘の恋人だった若者は、ひそかに桜井信久の家臣となってそばに仕えるようになりました。桜井信久はこうした事情を知りません。自分のそばに仕える若者が何者なのか、正体を知らずにいるのです。

そんな折り。武田勝頼が木曽攻めを宣言します。信玄の時代には戦国最強といわれた武田も、勝頼の代になって衰亡の一途をたどっていました。勝ち戦さは望めません。桜井信久は武田の滅亡を覚悟します。


落城寸前の城で、桜井信久が辞世の句をしたためます。

うつりゆく花のかおりのつきぬ間に…

しかし、あとが思いつきません。そのとき、敵の忍者が背後から現れて、

梅に身をよすうぐいすの声

と続けます。これ、じつは暗号になっています。桜井信久はいつ背後から切られてもおかしくない命の危険の中で、この暗号の意味を冷静に読み取ります。こうした桜井信久と忍者のかけひき。好きです。極限状態での読み合いは、この小説の大きな見せ場です。期待を裏切りません。

火術師

天正7(1579)年。武田勝頼の時代のはなしです。百姓の利吉は、ある事情から恋人のおもんと2人で夜道を急いでいました。そこへ番小屋の男たちが姿を現し、言いがかりをつけてきます。

利吉はおもんを守るために抵抗しますが、逆らった罪をとがめられ、無期限のあいだ無報酬で働かされることになりました。

この騒動の中で利吉は、鹿崎八郎と名乗る火術師と出会います。利吉は彼から「つらくとも我慢しろ。2年経つうちには、きっといいことがある」といわれます。2年。その言葉には、深い意味がありました。

やがて。

のろしが上がります。一筋の火炎が赤い火花を散らしながら星空にのびていき、武田の滅亡がはじまりました。まるで武田3代の歴史が火炎とともに星空に散っていくような気がしました。

また、

「二つの火焔が手でも握り合うようにもつれながら赤い焔を吹き上げてい」る様子は、離れ離れになってしまった利吉とおもんの再会を暗示しているようでした。

炎に焼かれた栗の実が音を立ててはじけます。栗の実こそ、2人が恋に落ちるきっかけとなったものでした。栗のはじける音は、2人の新しい未来を祝福するクラッカーにも聞こえました。

武田金山秘史

これからは鉄砲の時代だ。武田勝頼に仕える武将・穴山梅雪には、それが分かっていました。

長篠の合戦を前にして、穴山梅雪は鉄砲隊の編成を強く進言しますが、勝頼に却下されてしまいます。武田には強力な騎馬軍団があるので、鉄砲に頼る必要などない、と勝頼はいいます。結局、鉄砲を買う予算はおりませんでした。

そこで穴山梅雪は一計を案じます。まず堺の商人・塩屋三郎四郎を武田家の経営する金山に案内します。そうやって武田の財力を見せつけておいてから、代金あと払いで鉄砲を融通してもらおうという計画です。

ところが。武田の金山を目にした塩屋三郎四郎に、ある野心が芽生えたため、事態は思わぬ方向へ展開していきます。

武田の金山をめぐるドラマが巧みな展開で描かれています。とても楽しめます。武田の埋蔵金の隠し場所を知る者が、一人また一人と死んでいき、歴史の大きな謎となっていくプロセスに惹きつけられました。

at 10:18, あーりー, 歴史小説

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三国志 - 吉川英治歴史時代文庫

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三国志〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)
三国志〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)
吉川 英治(著)

チャーハン。炒飯。

おいしいチャーハンを食べるとき、僕はとことんよく噛みたくなります。食べ終わって「今回はちょっと噛み足りなかったかな」と思うときは、お腹はいっぱいなのにもう一皿食べたくなります。

よく噛まないともったいない気がするんです。ひと噛みひと噛みが一期一会とでもいいますか、とにかくそんな気分になるんです。

吉川英治の『三国志』を読んだときも、同じでした。ひと文字ひと文字、活字の並びを楽しみながら大切に読み込んで、味わって、文字を舌の上で転がすようにして行間に世界を広げていく。一行一行が、一期一会です。

「これは面白い、いつかまた再読しよう!」と思う本でも、実際に最初から最後まで再読する機会は少ないと思います。いま目の前にある文章をなんとなく読み流してしまったら、僕はもう一生このページのこの一行を目にすることはないのかもしれません。

だから、いま読んでいるこの瞬間をおろそかにしないように、舌の上で活字をコロコロと味わいます。とくに吉川英治の文章には、そうしたくなる魔力のような深みがあります。

三国志〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)
黄巾の乱で天下が乱れる中、劉備、関羽、張飛が出会い、桃園の誓いを立てます。曹操の呼びかけで反董卓連合軍が結成され、董卓軍と衝突。董卓軍に属する三国志一の豪傑・呂布が、縦横無尽に暴れまわります。

三国志〈2〉 (吉川英治歴史時代文庫)
傾国の美女・貂蝉の活躍により、董卓の栄華に終止符が。董卓亡きあと、天下の覇権を握るのは誰か?

三国志〈3〉 (吉川英治歴史時代文庫)
黄巾の乱からすでに10年。曹操vs呂布の戦いに決着がつきます。許田の狩りのエピソードもこの巻です。

三国志〈4〉 (吉川英治歴史時代文庫)
ついに諸葛亮の登場です。天才軍師・孔明という翼を得た劉備は、天下三分の計の実現に向けて大きくはばたきます。

三国志〈5〉 (吉川英治歴史時代文庫)
三国志でもっとも有名な、というより中国史上もっとも有名な会戦、赤壁の戦い。劉備、孫権の連合軍と曹操軍が激突します。

三国志〈6〉 (吉川英治歴史時代文庫)
劉備が蜀の国を得たことで、天下三分の計が実現。魏・呉・蜀の3勢力が三つ巴の戦いを繰り広げます。蜀の諸葛亮、呉の周瑜の激しい頭脳戦は見モノです。一方、魏では司馬懿が急速に存在感を増してきます。

三国志〈7〉 (吉川英治歴史時代文庫)
三国志の英雄たちの世代交代です。前半を彩った英雄たちが次々と世を去っていきます。三国志は新たな時代に突入。

三国志〈8〉 (吉川英治歴史時代文庫)
蜀の諸葛亮と、魏の司馬懿。ふたりの天才が智謀の限りを尽くしてしのぎを削ります。歴史の行く末は、この2人の手にゆだねられました。吉川三国志、完結です。

at 18:23, あーりー, 歴史小説

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小説 徳川秀忠 - 童門 冬二(著)

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小説 徳川秀忠 (人物文庫)
童門 冬二(著)

徳川幕府の第2代将軍、徳川秀忠が主人公の歴史小説。彼の目を通して、関ヶ原の戦いや大坂の陣、さらに3代将軍家光への政権移譲などが描かれています。歴史を現代のビジネス社会に例えたり、文中に箇条書きを用いるという手法は健在です。

言うまでもなく、徳川幕府の創始者は戦国乱世を這い上がってきた家康です。3代目は生まれながらの将軍、家光。このふたりに挟まれて、2代目の秀忠はなんとなく地味なイメージがあります。しかし、この小説を読むと印象が変わります。

秀忠は関ヶ原の戦いに遅刻しました。すでにこれだけで「秀忠は無能だ」というイメージがつきやすくなっているのですが、本書を読むと別の事情が見えてきます。

これは「秀忠はあえて関ヶ原に遅参した」という視点から書かれた小説です。可能な限りフィクションを排除したリアルな作風で、秀忠が有能な2代目だったことを証明しています。

at 13:47, あーりー, 歴史小説

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宮本武蔵 - 津本 陽(著)

宮本武蔵 (文春文庫)
宮本武蔵 (文春文庫)
津本 陽(著)

夢のまた夢』で第29回吉川英治文学賞を受賞した津本陽の小説。

少年・弁之助(のちの宮本武蔵)は、父をはずかしめた武者修行者・有馬喜兵衛に勝負を挑みます。このとき武蔵は13歳。対する喜兵衛は28歳。

武蔵は天真正伝香取神道流の達人である喜兵衛を終始圧倒し、彼の頭を叩き割ります。これが宮本武蔵の剣豪伝説のはじまりとなりました。

剣の道を極めれば極めるほど武蔵は孤独になっていくような気がしました。武蔵の心をなぐさめているのが亡き女性への想いであることが、かえって孤独感を際立たせます。

胸にしみる言葉があります。人生の道しるべになる言葉です。武蔵が人生のいろいろな瞬間で何を考えて、どう行動したのか。そこに僕は救いやヒントを見出そうとして、吸い込まれていったのかも知れません。

スピード感があります。物語がすすむと、武蔵の刀のあざやかなひとふりで章が終わるようになります。それはまるで武蔵がその刀のひとふりで次の章への扉を斬りやぶるような、人生を切り開いていくような、そんな印象です。

at 13:16, あーりー, 歴史小説

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七人の武蔵 - 司馬遼太郎、山岡荘八、津本陽らのコラボ

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七人の武蔵 (角川文庫)
七人の武蔵 (角川文庫)

司馬遼太郎、津本陽、山岡荘八、光瀬龍、武者小路実篤、海音寺潮五郎、山本周五郎といった、そうそうたる歴史作家のコラボレーションです。

7人の作家が7通りの武蔵を描いた短編集。次の7作品が収録されています。

司馬遼太郎『京の剣客』

武蔵の敵である吉岡の視点から描かれた作品です。かつては気が荒く、目覚ましいほどに強く、相手を無残に叩き殺していた吉岡憲法(直綱)。そんな彼も今ではすっかり穏やかな性格となり、趣味の釣りをしながらのんびりと暮らしています。

性格は丸くなったものの、剣の強さは健在。そのギャップに惹かれてグイグイ読み嵌ってしまいました。

吉岡憲法は武蔵と対決します。本来は弟の又市郎が武蔵の相手をすることになっていました。しかし、お前では武蔵に勝てない、ということで、兄の憲法が自ら武器をとるわけです。

よく知られている武蔵の小説では、武蔵と吉岡一門は計3回戦ったことになっています。でもじつは1回きりだったというのです。それがなぜ3回戦ったことになってしまったのかについても、この小説で触れられています。


津本陽『宮本武蔵』

津本陽の長編宮本武蔵 (文春文庫)とは別の作品です。武蔵の経歴を駆け足でコンパクトに紹介している印象です。後半は武蔵の剣術奥儀、つまり『五輪書』の奥儀について詳しく書かれています。

武蔵は「物事に拍子というものがある」とし、「勝つためには相手の拍子を読み取り、その拍子を外す拍子で打ちかけて」いくことが大事だとしています。

ほかにも「構えあって構えなし」や「遠き所を近く見、近き所を遠く見る」など、武蔵の実戦でのノウハウが述べられていて、とても興味深かったです。


山岡荘八『宮本武蔵の女』

晩年の武蔵と一人の女性の物語です。武蔵は60歳前後のとき、ある女性と出会います。女性のほうは30歳過ぎです。女性は「六十二年の武蔵の生涯を飾る花」となります。

女性と武蔵が睦まじい仲になっていく場面は新鮮でした。剣豪の武蔵とは別の顔です。頑固で照れ屋でキュートな武蔵にほのぼのとします。それだけに、クライマックスの悲劇的な急展開はショックでした。

宮本武蔵の墓は3つあるといいます。そのうちの一つには、武蔵の戒名にならんで、女性の戒名が「妻女の扱い」で刻まれているそうです。

光瀬龍『人形武蔵』

冒頭から惹かれます。「それは武蔵にとって、生涯忘れられない恐ろしい体験だった」 ホラー仕立ての異色の武蔵です。

武者小路実篤『宮本武蔵』

これもまた独特の武蔵でした。武蔵が友人を相手にこれまでの戦歴を語るという内容です。まず感じたのは、武蔵のしゃべり方がどこか現代風だということ。「トリック」というカタカナも飛び出します。

武蔵が語る内容も、飾らないざっくばらんなものでした。

「俺には、勝てる自信が無かった」「俺はこの人には及ばないと、思った」「だから(中略)試合はしなかった」と。勝てそうもない剣豪との戦いは避けていたことを、赤裸々に打ち明けます。

また佐々木小次郎と戦う気になった理由についても、面白い動機を語っています。よくしゃべる親しみやすいキャラクターの武蔵。違和感がありますが、それがまた魅力です。

海音寺潮五郎『宮本造酒之助』

武蔵の養子・伊織の視点から、おなじく武蔵の養子である造酒之助の恋と死が描かれています。

言葉のやり取りとは別に、登場人物のあいだで繊細な心のやり取りが交わされます。幼い伊織が大人の会話の裏にあるものを察知していく。それと同時に、読んでいる僕にも真相が伝わってきて、結末に近づくほど不思議なスリルを感じました。


山本周五郎『よじょう』

宮本武蔵の晩年の話です。不義理のために世間から爪はじきにされていた岩太という男が、やけくそでホームレス生活を始めた途端、人々から尊敬されるようになります。岩太は何が何だかわかりません。

僕もはやく先を読みたくてたまらなくなりました。最後の最後まで楽しませてくれる素敵なエンターテイメントでした。

at 11:59, あーりー, 歴史小説

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